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おそらのうえで。

おそらのうえで。

*笑顔*~君~

 


君の笑顔に恋をした。


 *笑顔*


 「先輩、おはようございます」


 朝の廊下。

 君はすれちがい際に

 にっこりほほえんで頭を下げる。


 「おはよ、今日も頑張ろうな」


 そんな君に俺も
 
 にっこり笑って手を振った。



 「あの娘だっけ?今度の生徒会書記。
   すっげぇ美人だよなぁ~」


 友達が君のことをそう言ってた。


 「後輩とは思えん大人さに
   あの落ち着きは・・・見事」


 去年に引き続き生徒会長な俺と

 今年、生徒会書記に決まった

 一つ下の彼女。


 彼女はいつもにっこり微笑んで

 仕事をてきぱきこなしてく。

 本当によく出来た後輩で

 ほんとによく出来た・・・

 彼女の笑顔。


 

 「ねぇ、今日って宿題出てたっけ?」


 「数学大量に出てたじゃん」


 「うっそっっ忘れてた~」


 「うつさせてやんないよ(笑)」


 「いやっ、そこをどうかっっ」


 そんな彼女の元気な声に

 振り向いた俺の目にうつるのは

 さっきとはちがって

 なんだか活き活きとした君の笑顔。


 俺はそんな彼女の笑顔に

 恋をした。




 「先輩、明日の会議の書類コピーです」

 放課後

 生徒会室。

 彼女はいつものようにテキパキ仕事をこなして

 つくられたような笑顔で

 にっこりと微笑んで俺に資料を手渡す。


 ねぇ

 君は俺にはあんな笑顔

 むけてくんないわけ?


 「あ、副会長と会計、今日は部活で休みだから」


 俺のそんな言葉に

 君はちょっと驚いた。

 
 目をぱちくりさせて

 俺を見る。


 「どうか・・・した?」


 いつもにない君の反応に

 首を傾げた俺。

 
 「あ・・・いえ、資料作り・・・
   どうしようっかなぁって・・・」


 君はちょっと慌てて

 いつもの君に「整えて」

 俺にゆっくり微笑んだ。


 「そんなの二人でやればすぐっしょ。
   ほれ、じゃぁちゃっちゃとやるか」


 放課後の生徒会室

 君と俺の二人きり。

 聞こえてくるのは外からの笑い声と

 紙がすれる音にホッチキスの音。

 静かな二人の空間。



 俺の前ではやけに落ち着いてる彼女。

 俺の前ではいつだって

 なんだかつくったような笑顔しか

 みせてくれない彼女。

 
 「初めて会った時は
   すっごく素で笑ってくれたのに」


 ぽつりとつぶやいた俺に

 君は首を傾けた。


 君と初めて出逢ったのは

 ちょうど君の合格発表の日。

 俺は生徒会の仕事で学校にきてて

 なんとなく立ち寄った合否発表現場で

 ぶつかった君と俺。


 「あっ、ごめんなさいっっ」

 
 振り帰り際に俺にぶつかった君の手には

 もうしっかり合格通知が握られてて

 
 「合格おめでと」


 俺の言葉に君は


 「ありがとうございます」


 笑ったんだ。

 
 そんな君の笑顔に恋をした。



 君が入学してきてからも

 廊下で擦れ違う度に君の笑顔に恋をして

 声をかけるタイミングを見計らっていたら

 君は生徒会書記に立候補。

 君との接点が出来て
 
 君の笑顔を期待してたのに
 
 君が見せてくれるのはあの時と違う

 つくったみたいな笑顔。


 「もしかして・・・俺のこと嫌い?」


 その作った笑顔は

 もしかして俺に

 無理して・・・笑ってる?



 僕の言葉にびっくりして

  
 「そっ・・・そんなことないですっっ」


 否定する君だけど

 でも

 もしもそうだとしたら

 もう君の笑顔を見るのは辛いんだ。



 「いいよ、無理しなくったって」


 それならいっそのこと

 無視されたほうが・・・マシかもしんない。

 
 「無理なんか・・・」


 俯いたまんま仕事を続ける君。

 少し重たい空気がただよう。


 「終了~」


 結局最後まで

 君は口を開かなくって

 俺の顔すらみてくんなくって


 完璧、嫌われたなって覚悟した。


 「片付けは俺一人で出来るから
   もう帰っていいよ、ごめんね
  ありがと。お疲れさん」


 やっぱり君は

 こっちを見てくんなくて

 
 「お先・・・失礼します」


 作ったような笑顔すら

 見せてくんないまんま

 君は教室をあとにした。



 「はぁ~・・・やっちゃったかなぁ・・・」


 少し自分の言動に反省。


 でもこれで

 君の笑顔は見れなくなっちゃった。

  
 イスにすわって机につっぷして

 深く深く落ち込む俺に
 
 
 「嫌いなんかじゃないんです・・・」


 彼女は戻ってきて言ったんだ。


 「無理は・・・してるけど・・・でも
   それは・・・その・・・」

 
 今までにみたことない

 君の真っ赤な顔に

 なんだか期待して

 俺は何も言わずに君の言葉に

 耳を傾けた。


 「先輩が・・・“大人な女”が好きだからって
  ・・・そう・・・聞いたからで・・・その・・・」


 あ・・・なんか俺の期待

 もしかして当たっちゃった?


 「“その・・・”なに?」


 君のその次の言葉が待ち切れなくて

 催促した俺に君は


 「先輩が・・・好きです」


 その真っ赤な顔を俺に向けて言ったんだ。


 「先輩が好きなんです」


 人って簡単に出来てるよね。

 さっきまで俺、あんなに落ち込んでたのに

 君の一言で

 こんなに幸せいっぱいでさ。

 顔ゆるみっぱなし。


 俺の腕は自然と君を抱き寄せた。



 「どこでそんな話聞いたかしんないけど
   俺が好きなのは君だから」



 僕の言葉に君は

 あの時と同じ笑顔を

 見せてくれたんだ。


 「やっと・・・笑ってくれた」



 君の笑顔に恋をした。

 君の笑顔に

 一目惚れだったんだ。


 でも悔しいから

 今はそんな話はしてやんない。 


 「そのまんまの・・・君でいてよ」

 
 ねぇ、これからはもっと

 “笑って”よ。




 


 

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bbs

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